ベケットの不条理劇をジャコメッティの実存主義的人間彫刻が演じるパペット・アニメーション。サルトルに観てもらいたかった・・・・・

   

人形(パペット)アニメーション:立体クレイアニメーション制作のために、
名作「BALANCE(バランス)」の制作過程を学びました。

ベケットの不条理劇をジャコメッティの実存主義的人間彫刻が演じるパペット・アニメーション。サルトルに観てもらいたかった・・・・・
この作品は、第62回アカデミー賞(1990年) 短編アニメーション賞受賞。
この時、名誉賞には黒澤明監督が輝いています。

作品は
BALANCE ‐ ニコニコ動画:GINZA
http://www.nicovideo.jp/watch/sm2772829で鑑賞でいます。

技法を学ぶ
この作品は、骨組みは木、頭はクレイ、服は布仕立ての複数の素材を組み合わせたミニチュアです。
クレイアニメーションとも呼べそうです。
『ゴドーを待ちながら』のベケットの不条理劇を彷彿とさせる展開、シナリオについてはさておき(残念!)

制作技法を追求します。
といいながら、一番気になっていた「鶏が先か?卵がさきか?」、構想(シナリオ)が先か?パペット(人形キャラクター)が先か?については、「コマ撮り秘密」に、作者がインタビューに答え、「人形を使うことは、コンセプトが決まる前から決まっていた。というより、人形に刺激されてストーリーが生まれたと言ったほうが正しい。」。
閑話休題
まず、撮影機材は、16mmカメラ。
1989年の制作ですから、16mmカメラでしょう。16mmカメラの場合、「コマ撮り」ができる機材を選びました。私はフランス製の「バリュー」を使用していました。
(バリューの写真)

板が傾く「板のアニメ一ションは四すみの下に本を積み重ねて、コマごとに高さを変えて動かしました。ローテクです……。」
では、この傾きに耐えるパペット(人形キャラクター)の固定はどうなっているのか?
「卓球台に発泡材とコルクを層状に貼り付けて、ピンで人形の足を固定できるようにしました。」
立体のパペット(人形キャラクター)を立たせるには、苦労する。カメラアングルから外れる部分を水平に固定したり、上部から釣りあげたり・・・各シーンによって工夫がいる。そのために絵コンテを変更する場合もある。
この作品のように「ピンで人形の足を固定できるよう」な仕様を実現するためには、素材を考慮する。「顔」は表情を表現したいとなると、クレイが最適だるう。クレイは重量がかかるので、骨組みや衣装をできるだけ軽くしたい。が、いわゆる「頭でかち」になってしまうとそれこそバランスがとれない。パペット(人形キャラクター)全体のバランス、パペット(人形キャラクター)自体がピンで固定しなくても自立するくらいのバランスが必要になる。

以下「コマ撮り秘密」より
コット:完全に浮かんで見えるシーンもありますが……。
ラウエンシュタイン兄弟:ええ。3ヵ所あります。板の写真を切り抜いてガラスに貼りました。この3ヵ所についてはスチルなので他には何もしていません。完璧な特撮です。
コツト:人形はどうやって板に固定したんですか。
ラウエンシュタイン兄弟:卓球台に発泡材とコルクを層状に貼り付けて、ピンで人形の足を固定できるようにしました。

ラウエンシュタイン兄弟:生身を感じさせない人形に釣り竿を振らせるのはやっかいな作業だった。ダイナミックでそれらしい動きに見せるため、ローアングルで撮った。

コット:目はどうやって動かしたんですか。
ラウエンシュタイン兄弟:よくあるテクニックです。瞳の真ん中に穴を開けて、針で好きな方向に動かしました。
(引用ここまで)

このような断片的なコメントをヒントに制作していくが、現在は、PC上で合成や編集ができるので、特撮も工夫していきたい。
しかし、いくら便利になったとしても「ラウエンシュタイン兄弟:アニメーションのクオリティが重要なのはわかっていたので、キャラクターはずいぶん作り込みました。」肝に銘じて制作に取り組みたい。

製作費は、「今だと2干5百ユーロ」、約三十数万円とのこと。(「コマ撮り秘密」より引用)
ただし、
コット:実際のアニメーションにかかった時間は?
ラウエンシュタイン兄弟:それが一番長かったですね。5ヵ月かかりました。」
(「コマ撮り秘密」より引用)

 - コマドリアン・チアン