長良川の鵜飼漁の技術(国の重要無形民俗文化財)

国の重要無形民俗文化財

長良川の鵜飼漁の技術 平成27年3月2日指定

国の重要有形民俗文化財

長良川鵜飼用具 昭和30年4月22日指定

岐阜市重要無形民俗文化財
・鵜匠家に伝承する鮎鮓製造技術 平成22年3月29日指定
・長良川鵜飼観覧船操船技術 平成22年3月29日指定
・長良川鵜飼観覧船造船技術 平成22年3月29日指定
長良川の鵜飼漁の技術(国の重要無形民俗文化財)
鵜飼漁とは
日本ではウミウを使って魚を獲る漁のことです。
美濃地方では、大宝2年(702)、正倉院宝「御野国(みのこく)戸籍」に鵜飼をなりわいとしていたとおもわれる「鵜飼部(うかいべ)」の名が記録されており、1300年以上の長い歴史があります。
鵜飼漁の技術とは
鵜匠が漁において鵜を扱う技術。
長良川の鵜飼漁の鵜匠は、鵜の首に装着する「首結(くびゆい)」の加減、鵜を操る「手縄(たなわ)」をさばいて、1人で最多で12羽の鵜を操ります。これは日本における鵜飼漁で最も多い数です。
鵜匠家で鵜を飼育する技術
鵜は、年間を通じて鵜匠家で飼育されています。(長良川温泉では年中飼育されている鵜をまじかで鑑賞できます)
長良川中流の流れの速い瀬を鵜舟を操りながら越え、漁を行います。
鵜匠や船頭による船の操船や管理に関する技術
このようなそれぞれの技術が一体となり伝承されてきました。

長良川の鵜匠は、岐阜市・長良の6名、関市・尾瀬の3名が鵜飼漁に携わり、全国で唯一、宮内庁式部職鵜匠に任じられています。
鵜飼観覧 長良川鵜飼は、毎年5月11日~10月15日(中秋の名月、増水時以外)毎晩行われています。鵜飼観覧船からまじかに鑑賞できます。

また、御料鵜飼は、古津地区及び立花地区の両地区において宮内庁式部職鵜匠により、毎年8回ずつ行われており,このうち古津地区の2回は,駐日外国大使夫妻等を招待し,日本の伝統文化である鵜飼漁を紹介しています。
長良川鵜飼用具
岐阜市長良の各鵜匠家で使用されてきた鵜飼道具は、
・鵜飼期間中に使用する用具
・餌飼(えがい)≪休漁中、昼間に川や池などで自由に魚を獲らせること。現在は行っていない≫で使用する用具
・手縄(たなわ)の原材料と製造用具
・腰蓑(こしみの)を製作するための用具、工程
・鵜飼育道具
・その他 宮内庁関連品
6つに分類されています。
現在では使われていない用具も多類含まれ、長良川の鵜飼漁の全容が網羅されています。
用具の素材は、鵜飼船に高野槙(こうやまき)、鵜篭(うかご)に淡竹(はちく)、漁服(りょうふく)に木綿(もめん)、腰蓑(こしみの)に糯藁(もちわら)などで、それぞれの用途に見合った伝統的な素材をもとにしており、その製作には鵜匠や家族、船頭等が自製する用具と、舟大工(鵜飼船)、竹細工職人(篭類)、鍛冶職人(篝(かがり)や舟釘)など、専門の技術をもつ職人が製作する用具があります。
鵜匠家に伝承する鮎鮓製造技術
長良川鵜飼の鵜匠家の鮎鮓(あゆずし)の製造法は、酢を使わずにご飯と塩で鮎を漬けて発酵させる「なれずし」です。江戸時代の献上鮎鮓の製造法と類似する点が多く、献上鮎鮓の伝統を引くものと考えられます。
この地の鮎鮓(あゆずし)の歴史は、平安時代の文献「延喜式(えんぎしき)」の中にも名を見ることができ、 室町時代には美濃の名物として知られていました。
江戸時代には幕府御用の献上品となりました。
そのため、当地を管轄していた尾張藩は「御鮓所(おすしどころ)」を設けて製造に当たらせ、岐阜から尾張まで運搬路を「御鮓街道(おすしかいどう)」と呼んでいました。
岐阜市内の「御鮓街道(おすしかいどう)」は整備され当時を偲びウオーキングが楽しめます。
長良川鵜飼観覧船操船技術
鵜飼観覧に使われる木造の鵜飼観覧船は船外機を装備せず、舳(へさき)(船首)と艫(とも)(船尾)に乗り込んだ船頭が息を合わせ、棹(さお)を主体に櫂(かい)を併用しながら川を上下します。
観覧船運航区域の河床は石瓦礫であり、棹が河床に届き易い場所は棹を使います。棹には船の方向を変えるハリザオ、カカエザオ、船の動きを止めるウケザオ、トナザオなどの操作があります。また、川を上る際に舳の船頭は前後に歩を焦めながら棹をさします。
櫂は棹が河床に届きにくい場所で使い、舳の船頭はヘガイ、艫(とも)の船頭はトモガイを使います。櫂は進路を変える取舵(とりかじ)や面舵(おもかじ)のほか、推力を生じさせるモジリガイ、オオマワシガイ(トモガイのみ)、ハネガイ(ヘガイのみ)、船を止めるトナガイなどの操作があります。
観覧船運航には厳密な航路の設定がなく、毎日の河川の状況、天候、船の状態等を船頭か、判断しながら運航します。そのため、一人前として認められるまでには、多くの経験が必要です。
長良川鵜飼観覧船造船技術
鵜飼観覧に使われる観覧船のうち、30人乗り以下の木造船は、岐阜市鵜飼観覧船造船所で造船しています。
船体の板材には水に強くて軽い高野槙(こうやまき)を使用します。また、3種類の和釘を使い分けて接合しますが、この技法は長良川流域の舟大工と共通する伝統的な造船技術です。
一方、シキ板(底板)の浮き上がりを防ぐシキオサエやハラ板(側面の板)の補強や、屋形の柱を立てるための2本のハリギ(梁木)や、屋形内への水の浸入を防ぐミズドメの板など、長良川流域に残る他の川船にはない船体構造も備えています。